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この日は始めから目指す喫茶室がありました。
数年前に取り壊された中野の「クラシック」が 高円寺に里帰りして名を高円寺時代の「ルネッサンス」と改め、 営業を始めたというので、そこを訪ねるものでした。 中野の「クラシック」は1930年にオープンして 2005年まで営業していたようです。 若き五木寛之なども常連のクラシック専門の喫茶室でした。 その古さ加減、今は亡きマスターの手作りの竹針、ターンテーブル、 真空管のアンプ、すり切れたSP、メリメリと傷を拾いながらも 素晴らしい音を奏でていて、その奥深い音に包まれて コーヒー1杯で何時間も時を忘れたものです。 それでも傷みの激しい盤になると音楽を聴いているのか、傷を聴いているのか、 解らなくなる時さえありましたが・・・。 冬には1階席のあちこちにアラジンストーブが置かれて暖をとりながら、 独特の異次元空間に身を置くと妙に安らいだ気分になりました。 その頃はジャズやロックで日が暮れていたけれど、 飽きるとここへ来たものです。本を読んだり考え事をしたり。 私が知るのは’70年代後半〜’90年代初期の「クラシック」ですが、 ハンサムでオシャレなマスターはマドラス帽子に白いワイシャツ、 蝶ネクタイ。ストライプのズボンにサスペンダーをして、 口にはパイプをくわえていて誰もが知ってる中野の有名人でした。 マーケットでお店用の「角砂糖」を大量に買う姿を良く見かけました。 音楽喫茶(ロック、ジャズ、クラシック)が世の中から消えて行き、 マスターの姿も見かけなくなりました。その頃亡くなられたのでしょう。 それから美人の娘さんが後を引き継ぎ、店を閉める事なく続けていたようですが、 間もなくして亡くなられ、残された従業員、宝のようなレコード、機材・・・。 従業員で話し合い「もう、続けるのは無理だから閉めましょう」 という意見に傾く中あきらめきれず、このたび「ルネッサンス」という名で 小さいながらほぼ中野時代を彷彿とさせる内装でオープンしたのだそうです。 ジャズの楽しみを知った「サンジェルマン」を過ぎ、しばらく行くと 黄色地に黒い文字で「ルネッサンス」と書いてある看板を発見。 これは「クラシック」と同じデザインです。懐かしい! 胸が高鳴ります。 入り口のドアも窓の装飾もそのまま中野から運んだようです。 扉を開けると音が身体を包み込んで引き入れてくれるようでした。 「グレゴリアンチャント」がお腹に響くような音色で鳴っていました。 さすがにこれはSPではなくLPでしたが。 内装は、いろいろと整理したとは言え、昔のままのイスやライト、 懐かしい絵、などが巧く設えらえてあり、雰囲気はほぼ昔のままでした。 ターンテーブル、真空管のアンプ、スピーカー・・・。 友達のギターリストが昔「CDの音はうるさいんだよね、均一で」 って言っていた意味がこの日わかった。長い事忘れていたんだね〜。 我が父も真空管アンプを自分で作っていたから、豊かで厚みのある 深い音に触れる事が出来る所がこの時代に出来た事に感謝感激です。 お店のメニューは昔と変わらず、コーヒー、紅茶、オレンジジュース 各種400円。リクエストも出来ます。もちろん大音量で音楽が聴けます。 イスも机も全て使えるものは中野から運んでいるので、 長い時間とタバコの煙を吸ったであろう匂いは立ちこめているけれど、 平日なら静かな古の時間を味わえるでしょう。 店の出入口の上に懐かしいハンサムなマスターと美しいお嬢さんの 写真が並んでかざってあります。 私が「中野ではずいぶん通いました」と言うと、お店の人が 「じゃあ、これがまだ残っているので。懐かしいでしょう?差し上げます」 と、古いマッチを2個いただいた。 ともすれば、今の時代、屑とも成り得るものである。 しかし、今まで大切に引き継いできたこの音、空間(精神)に触れて、 体中が浄められたようだった。
by naomieux
| 2008-03-31 10:48
| 雑記
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